妊娠のプロセスと不妊の原因

妊娠と不妊

不妊症はさまざまな原因が考えられる、とても複雑な病気です。

不妊症は、原因を見つけるだけでもひと苦労。「これほど複雑な病気はない」ともいわれるほど、さまざまな原因が考えられます。

そもそも妊娠のメカニズム自体がとても精巧。

そのプロセスのどこかに問題があると不妊の原因になりますが、原因が重複することも多く、そのうえ男性側にも原因はあります、さらに、夫婦で検査をしてもどこにも異常がないのに、なかなか妊娠できないという場合も、およそ10%は、こうした原因不明の不妊症に当たります。

まずは妊娠のプロセスと、それぞれにかかわる不妊の原因を整理しておきましょう。

①ホルモンの絶妙なバランスで卵子が成熟し、卵巣から飛び出す排卵

生理の終わりごろ、脳の下垂体から卵胞刺激ホルモンが出されます。

これによって卵巣の中にある原始卵胞の1個から数個が大きくなりはじめます。

と同時に、この卵胞からは卵胞ホルモンが出され、その作用で子宮では内膜がだんだん厚くなり、受精卵が着床しやすいように準備を始めます。

生理が終わって10日ほどたって準備が整うと、下垂体から黄体化ホルモンが多量に分泌され、この影響で成熟卵胞が卵子を1個外に出します。 これが排卵です。

市販の検査薬や病院の検査で尿から排卵日を予測するのは、尿中の黄体化ホルモンの量をチェックするもの。 排卵された卵子は、イソギンチャクのような形をした卵管釆にキャッチされ、卵管へと取り込まれます。

毎月80%の人は、左右にある卵巣から交互に排卵され、残りの20%はいつも同じ側から排卵しています。 卵巣を片方摘出した人も、残った測の卵巣から毎月排卵が起こります。

基礎体温や市販の検査薬でチェック

目が覚めてすぐの体温を測った「基礎体温」は、女性ホルモンが正常に働いているかどうか、排卵が起こっているかどうかを知る手がかりになるもの。

基礎体浬が正常なら、低温期と高温期の境目あたり(生理周期のちょうど中間あたり)で排卵が起こります。

このころ、いったんガクンと体温が下がりますが、多くはその後急上昇するあたりで排卵します。 なかには下がった時点やその直前に撼明することも。

市販の検査薬は、尿中の黄体化ホルモンの量を調べるもので、量がピークに達したときから15~40時間後に排卵が起きると予測されます。

考えられる不妊原因

卵が育たない、排卵できない

卵が育たない、もしくは育っても排卵できない場合。

これを排卵障害といい、女性の不妊症の約20%を占める原因になっています。

おもに脳や卵巣から出されるホルモンの異常によるもの(多嚢胞性卵巣症候群高プロラクチン血症など)ですが、そのほかに子宮内膜症や、クラミジアなどの性感染症による炎症で、卵巣のまわりが癒着を起こし、育った卵子が卵巣の外に飛び出せなくなっていることも。

卵管采が卵子を取り込めない

イソギンチャクのような形をした卵管釆が先天的に異常で、つぼみのようにふさがっていたり、別のところに開口部があって、卵子を取り込めない場合(ピックアップ障害)。

この卵管釆の異常は、腹腔鏡検査や高度医療まで進んではじめて発見されるのがほとんど。

一般治療の段階では原因不明の10%の中に入るものです。

②精子と卵子が卵管の中で出会い、結合する受精

セックスがあって射精が行われると、精子は1分間に2~3ミリの速さで子宮から卵管へと進んでいきます。

この前後に排卵が起こって卵管内に卵子が取り込まれ、卵管の先っぽにあたるふくらんだ部分(卵管膨大部)で、うまく精子と卵子が出会うことができれば、受精が起こります。

このとき、卵子を見つけた精子は我先にと卵子のまわりを取り囲みます。

そのうち最初に卵子の中に飛び込んだ精子が卵子と結合し、ほかの精子はシャットアウトされます。

ちなみに卵子の寿命は24~36時間、元気な精子の寿命は2日~数日なので、排卵日の2、3日前から翌日くらいまでが受精可能な時期といえます。

考えられる不妊原因

セックスができない

性行為障害といって、女性、男性ともに起こります。 女性側では、生まれつき膣や外陰部にトラブルがある場合と、過去のつらい性体験や恐怖心からくる精神的なものとがあり、また子宮内膜症によって癒着があるために、セックス時に痛みが激しくてできないことも。

男性側では、まずインポテンス(*ED=勃起障害)があり、これには糖尿病や高血圧などからくる身体的なものと、心因性のものがあります。

勃起はするものの膣内で射精できない射精障害も性行為障害に入ります。

精子や卵子の状態が悪い

精液の中に精子がいない(無精子症)、数が少ない(乏精子症)、動きが悪い(精子無力症)、奇形が多いく精子奇形症)など、精子の状態が悪いことで、妊娠できなくなります。

これらを合わせて造精機能障害といい、ストレスや染色体異常、精巣から出る静脈の弁が壊れて精巣内に血液が逆流する精索静脈瘤などによって起こります。

また女性の卵子が老化などで状態が悪く、受精できないことも。

精子が子宮内に入れない

排卵が近づくと、子宮頸管(下部の細いところ)からは頸管粘液が多量に分泌され、精子を通りやすくします。 この頸管粘液の分泌量が足りないと、精子が子宮頸管を通過できなくなります。

これを子宮頸管の通過障害といい、卵胞ホルモンの分泌不足によって起こるほか、頸管にクラミジアなどの炎症や、ポリープがあっても起こります。

また夫婦で長い期間セックスをしていると、この頸管粘液の中に精子に対する抗体ができてしまい、精子をブロックして通さない(抗精子抗体)ことも。

精子や卵子の状態が悪い

精液の中に精子がいない(無精子症)、数が少ない(乏精子症)、動きが悪い(精子無力症)、奇形が多いく精子奇形症)など、精子の状態が悪いことで、妊娠できなくなります。

これらを合わせて造精機能障害といい、ストレスや染色体異常、精巣から出る静脈の弁が壊れて精巣内に血液が逆流する精索静脈瘤などによって起こります。

また女性の卵子が老化などで状態が悪く、受精できないことも。

精子が卵管に入れない

卵管が詰まっているために、子宮に入った精子が卵子のところにたどりつけない場合。

これは卵管障害といわれ、女性不妊症の3分の1を占めるほど大きな原因になっています。

卵管が詰まる原因として多いのは、クラミジアなどの性感染症による炎症と、子宮内膜症による癒着です。

③受精卵が、子宮内膜にもぐり込み、妊娠が成立 着床

受精卵は、細胞分裂をしながら卵管を移動し、受精後約4日で子宮に到着します。

そこでさらに分裂を繰り返したあと、子宮内膜にもぐり込み、受精後6~7日目に着床します。

これで妊娠が成立します。 この着床がしやすいように、排卵したあとの卵胞が黄体に変わり、黄体ホルモンを出すようになります。

この黄体ホルモンには、卵胞ホルモンによって厚くなった子宮内膜を、ふかふかに整える働きがあるのです。

また体温を上げる働きがあるため、排卵後には基礎体温が上昇して、高温期に入ります。