リウマチについて

リウマチ
全身の関節が痛む慢性関節リウマチ

リウマチは、古代ギリシャ時代から人々を苦しめてきた難治性の疾患です。 今でもなお発症の原因が明らかにされていないために、根本的治療がむずかしいといわれています。

現在、日本のリウマチ患者数は70万人~100万人に及ぶといわれ、年々確実に増えているといいます。 そもそも『リウマチ』という病名は、関節痛があるすべての疾患につけられていた総称で、ギリシャ語の「流れ」を意味する言葉が語源で、悪性の液体が体内を流れ、関節にたまって痛みを引き起こしているのではないかと考えられていました。

そのため、関節に痛みが生じる病気はすべてリウマチ、あるいはリウマチ性疾患と呼ばれています。 現在は、関節痛を伴う疾患は、自己免疫異常によって関節に炎症が起こる慢性関節リウマチ、老化や外傷が原因となって関節軟骨が変形して起こる変形性関節症、尿酸の代謝異常が原因の痛風など、いくつかの疾患に分類されています。 そして、単にリウマチという場合は、慢性関節リウマチを指すようになっています。

Pick up! リウマチの体験談

17年ほど看護師、保健師をしています。母がリウマチを患って30年程経ちます。様々な治療法を行いながら、寛解、再燃、増悪と繰り返しているのを傍らで見守ってきました。 リウマトレックスを内服しはじめて...

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自己免疫異常でおこる慢性関節リウマチ

慢性関節リウマチは、どのような理由で、どのような症状が起こるのでしょうか? まず、知っておきたいことは、自己免疫疾患の一つである慢性関節リウマチは手足の関節だけに症状が現れるわけではなく全身的な症状を伴う病気であることです。

私たちのからだには、体外から侵入した病原菌から防御する「免疫」というシステムが備わっています。 「免疫」とはひと言でいうと、自分のからだにとっての「自己」と「非自己」を判別し、非自己を攻撃して、排除しようとする働きのことです。

その役目をしているのがマクロファージや白血球などの免疫細胞で、つねに体内を循環しながら、細菌やウイルスなどの外敵(非自己)を発見するとただちに攻撃をしかけていきます。 マクロファージは、出会った物質が非自己と判断すると、自分の細胞内に取り込み、溶かしていきます。

また、白血球の一種であるBリンパ球は、外敵(抗原)にピタリと合う抗体をつくり出し、抗原抗体反応によって、外敵の活動を妨げるように働いています。 このように、自分のからだにとっての非自己を死滅させ、体内から消去するのが免疫の働きです。

ところが、何らかの理由で、自己と非自己の判別がうまくできなくなり、自分のからだにとって正常なものまで攻撃し、その結果、さまざまなトラブルが生じることがあります。 つまり免疫システムに狂いが生じて、自己に対しても攻撃をしてしまうのです。

こうした免疫の異常が原因となって起こる病気を「自己免疫疾患」と呼んでいます。 リウマチは、この自己免疫疾患の一つなのです。そのため、リウマチにかかった約9割の人の血液の中には、自己抗体であるリウマチ因子(RF)」が検出されます。

しかも、一つの関節だけでなく、手や足、肘や膝などからだのあちこちの関節に同時に発症し、症状が長期にわたるために慢性関節リウマチと呼ばれるのです。

リウマチは「治る」のではなく「寛解」する

関節リウマチの場合、薬物療法などによって症状が治まった状態を、完治ではなく「寛解」(かんかい)といいます。 具体的にどういう状態になれば寛解なのでしょうか。

アメリカのリウマチ学会では、344例のデータを分析した結果、1981年に「関節リウマチの寛解の基準(案)」を発表しています。

この基準によれば、次のが少なくとも2か月以上続いていれば、臨床的にその患者は「寛解した」と判定できることになります。

  1. 朝のこわばりが15分以内で消える。
  2. 疲労感がない。
  3. 関節に痛みがない。
  4. 関節を圧迫したり動かしたりしても痛みがない。
  5. 関節または腱鞘(けんしょう)の軟部組織に腫れがない。
  6. 血沈を1時間後に測定したときの数値が、女性で30mg以下、男性で20mg以下である。

ただし、5項目以上を満たしていても、関節リウマチによる発熱がある場合、関節リウマチ以外に理由が見当たらない体重減少が見られる場合、血管炎、筋炎、胸膜炎などの症状がある場合は、寛解には至っていないと判定されます。

関節リウマチだけが「リウマチ」ではない

リウマチと似た症状
リウマチと似た症状

リウマチは、関節や筋肉が痛む病気の総称です。関節リウマチはリウマチの代表的疾患のひとつです。リウマチに含まれる病気は、原因によって分けられます。

リウマチの主な病気

リウマチの主な病気を紹介します。同じ「痛みの病気」でも、それぞれに特徴があります。リウマチを、大きく膠原病のグループとそれ以外の病気に分け、膠原病に属するものには★マークをつけてあります。

関節リウマチ★

膠原病グループの病気の中では飛びぬけて忠者数が多く、日本には約70万~100万人の患者さんがいます。世界じゅう、どの民族にもある病気で、有病率は0.3~1.5%。米国とヨーロッパ諸国に多くみられる傾向があります。

強皮症★

皮膚がかたくなる病気ですが、強いという言葉からは遠く、病変が起こった部分は線維化して傷つきやすく夕なります。

手指に出るレイノー症状(寒冷刺激や痛みの刺激で白から紫、赤へと変色する)は、発病の数年前から始まることもあり、病気に気づくきっかけになります。

関節にも痛みやこわばりがあらわれ、関節破壊がないまま、手指に高度の変形(屈曲拘縮、曲がったまま固まる)が起こることもあります。

内臓に病変がおよぶことがあり、特に肺線維症は、発症してから4年以内に肺活暈がいちじるしく低下し、ときには生命にかかわります。

やはり国の特定疾患に認定されており、令録忠者敖は次に述べる多発性筋炎/皮膚筋炎と合わせて約3万8000人(2008年度)です。

全身性エリテマトーデス★

蝶が羽を広げたような赤い発疹(蝶形紅斑)が知られていますが、ほかにも熱が出る、疲れやすい、だるいといった全身症状をはじめ、内臓障害による症状など、多様です。

一人の患者さんにすべてが出るわけではなく、あらわれ方も人によってさまざまです。関節の痛みやはれも起こりやすく、関節リウマチとまちがえられることもあります。

また、関節リウマチや強皮症、多発性筋炎など、ほかの膠原病との併発(オーバーラップ症候群)も多くみられます。国の特定疾患(病因が不明で有効な治療法が確立されていない病気。医療費が援助される)に認定されていて、登録患者数は5万5000人余り(2008年度)。

医療機関を受診していない人を含めると、この2倍になると推定されています。

多発性筋炎/皮膚筋炎★

体を勁かす骨格筋(横紋筋)に炎症が起こり、筋力が低下するのが多発性筋炎。この症状に加えて、特有の皮膚症状が起こるのが皮膚筋炎です。筋肉症状のほかに、関節痛や呼吸器症状(間質性肺炎)、心症状(不整脈、心不全など)が起こることもあります。

なお、皮膚筋炎では相前後してがんが合併することがあります。ほかの膠原病との併発が多いのも特徴です。この病気も国の特定疾患で、有病率は全身性エリテマトーデスの半分ほどとされています。

リウマチ熱

のどに溶連菌(溶血性連鎖球菌)という細菌が感染し、扁桃腺炎などにかかったあと、鳥熱とともに関節炎や心炎など特徴的な症状があらわれます。ときには後遺症として、心臓弁膜症を起こすこともあります。6~15才の子どもに多く、成人でもみられますが、4才以下の小児にはまれな病気です。

早期発見、予防、抗生物質による治療が発達し、日本での発症例は激減しましたが、開発途上国ではいまだに猛威をふるっています。当初は膠原病のひとつと考えられましたが、感染に続発するものとわかり、現在は原因が明らかになりました

痛風

血液に含まれる尿酸は、腎臓から尿にとけ排泄されますが、排泄量が少なかったり、体の中でつくられすぎると、血液中の尿酸が増え高尿酸血症になります。高尿酸血症の状態が長期化すると、尿酸塩という血症になり関節に沈着していきます。尿酸の血症は針状で、痛覚神経を刺激し、激しい痛みを起こします。

これが痛風です。日本では現在、約200万人の無症候性高尿酸血症の人がいると推測されていて、特に30代、40代の男性の発症がよくみられます。女性は痛風患者全体の1~2%で、圧倒的に男性に多い病気です。

変形性関節症

関節の軟骨がすり減ったり、関節の骨が変形し、しだいに痛みが出てくる病気です。症状が関節リウマチと似ているため混同されがちですが、まったく異なる病気で、膠原病でもありません。変形性関節症は、ひざ関節がもっとも多く、股関節、手指、脊椎にもよく起こります。

発病には加齢、過体重、運動による負荷などの因子がかかわりますが、股関節では(日本においては)、先天性脱臼や股関節の屋根(臼蓋)の形成不全で起こる場合が多く、ひざ関節よりも若い年齢で発症します。 

関節は年齢とともに変化し、60才以上になると80%以上の人になんらかの変形がみられるとされます。高齢社会の中、患者数は増えており、約700万人(総人口の約5.5%)にのぼると推計されています。

出典元:

Medically reviewed by

  • Sachiko Mitarai, MD
    Sachiko Mitarai, MD

    自分はどうして関節リウマチになってしまったのだろう。関節リウマチは、どんな原因で起こるのだろう。関節リウマチと診断されると、多くの人が一度はこういった疑問をもつようです。 関節リウマチは、進行性のやっかいな病気というイメージがつきまとうため、「なぜ、そんな病気に」という思いから、つい犯人探しをしてしまうのかもしれません。 関節リウマチの原因について、明快な答えはいまだに出ていません。たとえば感染症のように、原因となる細菌をつきとめればよい、といった病気ではないからです。