リウマチと妊娠

リウマチと妊娠
関節リウマチの人の結婚、妊娠、出産

関節リウマチの発症は、30~40代の女性に多く、20代で発症する人もかなりみられます。20~40代は、結婚、妊娠・出産、育児と、女性の人生の中ではもっとも変化に富む時期です。

結婚前に発症した場合は、病気があるのに無事 に家庭生活が営めるかと、不安に思う人もいるでしょう。 しかし関節リウマチが、結婚の障害になることはありません。気持ちを強くもちましょう。

結婚前には、二人でよく話し合ってください。病気の状態や、今後の治療の見通しなど、二人でいっしょに医師から説明を受けることも大切です。

前もって計画的に治療を進めていく必要がありますので、妊娠・出産については、結婚当初から、医師と相談するようにしてください。

Pick up! リウマチの体験談

私が関節リウマチを発症したのは、出産した38歳頃のことです。 子育てで忙しくてあまり真剣に考えなかったためか、はじめは病院でも単なる神経痛と診断され、鎮痛薬や湿布でしのいできました ...

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妊娠・出産のためには病気のコントロールが必要

一般的に、関節リウマチの患者さんが妊娠すると、状態はよくなるといわれています。調査では、妊娠3ヵ月で50%、妊娠後期では60%の人のリウマチが改善し、20%の人は悪化したという報告があります。

症状の改善は妊娠中つづきますが、出産後は半年以内に、90%の大が再発し、元の状態になります。人によっては、悪化する場合もあります。

これには、妊娠中に増えていた免疫抑制物質が少なくなることや、授乳中に分泌されるプロラクチンというホルモンの影響が考えられます。 授乳を早めにやめる、といった対処をしましょう。

リウマチは遺伝病ではありません

関節リウマチには遺伝的、体質的要素がありますが、遺伝病ではありません。環境的な因子が加わってはじめて発病するのです。このような病気は、高血圧、膠原病、アレルギー疾患など、ほかにも数多くあります。

薬による影響には注意が必要

母体が治療のためにのむ薬の中には、胎児へ影響するものがありますので注意が必要です。

非ステロイド性抗炎症薬

非ステロイド性抗炎症薬の催奇性(奇形を誘発)については、現在では否定的ですが、胎児の心臓動脈を収縮させたり、閉塞させる危険があります。また分娩を遅らせたり、分娩時に子宮の収縮を弱める作用もあるため、使用は中止します。

抗リウマチ薬

抗リウマチ薬は、妊娠中は使用できません。金製剤、D‐ペニンラミン、メトトレキサートには催奇性があり、さらにメトトレキサートは薬剤が肝臓に数力月とどまるため、妊娠3ヵ月前には中止することが望ましいとされています。

いずれにしても、薬を服用している人が気づかないうちに妊娠し、そのまま薬をのみつづけてしまうことはありうることです。

結婚当初から医師と相談し、病気の活動性を十分にコントロールした上で、安定した状態で妊娠することが大切です。

リウマチが女性に多い理由

リウマチと女性
月経や授乳にかかわるホルモンがリウマチに影響する

関節リウマチの患者さんの男女比は、男性1に対して女性が4で、比較的女性に多い病気です。これは関節リウマチだけのことではなく、自己免疫関係の病気は全体的に女性の患者さんのほうが多い傾向があります。 なぜ、女性に多くなるのでしょうか。

はっきりとはしていないのですが、ひとつ考えられるのが、女性ホルモンとのかかわりです。女性ホルモンが直接、病気をひき起こす原因になることは考えられません。 ただし女性ホルモンは、自己抗体の働きや、免疫反応を促すサイトカインなどの物質を活性化させやすいと考えられています。

女性ホルモンのうち、卵胞ホルモン(エストロゲン)と乳腺刺激ホルモン(プロラクチン)に、こういった働きがあるとされています。実際、関節リウマチは、特に月経のある年代で発症しやすい病気です。エストロゲンは、閉経すると分泌されなくなりますので、関連性が考えられます。

また、関節リウマチの女性が出産して、産後に授乳をつづけていると、症状が悪化するケースはよくあります。これにも、プロラクチンの影響が考えられています。

妊娠・出産の機能が免疫の働きを複雑にする

もうひとつ、女性がもつ妊娠・出産の機能も、自己免疫反応とかかわりがあると考えられます。たとえば、妊娠中は免疫の働きが抑えられます。

男性の精子や、胎児の細胞は、女性にとっては一種の異物となりますので、これを非自己として排除しないように、免疫系があまり働かないようにするのです。

一方、出産後には、この免疫抑制は解除されますが、それが急激に行われると、反動で免疫の働きが一気に高まってしまうことがあります。このようなときは、自己免疫反応も過剰になりやすいのです。

女性の免疫システムは、このように、男性よりも複雑でデリケートな対応をするため、自己免疫の病気を起こしやすいのだと考えられます。

自己免疫の病気は女性に多い 男女の比率

  • 関節リウマチ 1:4
  • 強皮症 1:7
  • 全身性エリテマトーデス 1:9
  • 混合性結合組織病 1:9
  • シェーグレン症候群 1:14

女性は免疫力が強い

生物としてのヒトの歴史は、感染症との闘いの歴史でした。最初の抗生物質であるペニシリンが発見されたのは、1928年。まだ、100年もたっていないのです。

抗生物質がなかった時代、女性は、感染を排除できる強い免疫システムを備え、子孫を残すために生殖年齢まで健康で生き抜くことが重要で、そういう人だけが生き残っていきました。

その力を引き継いでいる現代女性は、男性より強い免疫力をもつといえるでしょう。

しかし、強すぎると、相手をまちがえ、自己へ向かってしまうことも。女性の自己免疫疾患には、こんな背景があることも考えられます。

出典元:

Medically reviewed by

  • Sachiko Mitarai, MD
    Sachiko Mitarai, MD

    女性ホルモンには、直接、発病を促す働きはありません。ただし、女性ホルモンには、自己抗体の働きを活発にしたり、免疫反応を促す物質(サイトカインなど)を活性化させやすい性質があると考えられています。 特に、卵胞ホルモン(エストロゲン)と乳腺刺激ホルモン(プロラクチン)に、その働きが強いとされていま大実際、関節リウマチや全身性エリテマトーデスなどの膠原病は、月経のある年代に発病しやすく、閉経してエストロゲンが分泌されなくなると、発病率も下がります。 また、関節リウマチの女性が出産後に授乳をつづけていると、症状が悪化するケースがよくあり、乳腺刺激ホルモンの影響と考えられます。