リウマチと食事
![リウマチと食事](images/rheumatism4.jpg)
関節リウマチそのものを治療する食事療法はありません。 関節リウマチは関節への負担を懸念して運動不足を招くことがあり、 適正体重を維持して生活習慣病予防に努めるためにも規則正しい食生活が基本です。
関節リウマチを患うと、発熱や炎症の影響で体内でのタンパク貿の分解が盛んになるため、新陳代謝が活発になり、多くのエネルギーが消耗されます。
関節リウマチは何を食べていけないという食品に対する制限はありませんので、なるべく消化のよいものをバランスよく、3食きちんと規則的に取り、エネルギーを十分補給します。
リウマチの食事の基準は一般の食事と同じくタンパク質や脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラルをバランスよく取ることです。 そのためには夕ンパク質の豊富な魚や肉、乳製品をはじめ、畑の肉といわれる大豆(加工品も含む)や鶏卵、緑黄野菜(単色野菜も)や海藻類など、いろいろな食品を食べることです。
また、関節などに負担のかかる肥満にも注意が必要ですので、糖質(甘いもの)を控えめにして、食物繊維や微量元素なども取るように心がけましょう。
Pick up! リウマチの体験談
関節リウマチを発症したのは2年ほど前です。管理職になって仕事が多忙な時期でした。 朝、両手がこわばり、朝の身支度がつらい、仕事でのパソコンの操作がつらいという症状に始まり、それに痛みが加わるようになりました ...
リウマチの体験談の続きはこちら
リウマチと食事のポイント
①良質なタンパク質を摂って結合組織を丈夫にしよう
結合組織の主成分である良質なタンパク質は、脂肪の少ない肉や白身魚、大豆製品などからバランスよく摂るようにします。
魚の皮のヌルヌルした部分には、関節の軟骨の主成分になるコンドロイチン硫酸が含まれているので皮は残さないように食べます。
納豆、ヤマイモ、ナメコ、メカブなどに含まれるネバネバの物質も同様なので、タンパク質と一緒に摂ると効果的です。
コラーゲンを含む鶏肉や豚、牛、魚の軟骨は、ビタミンCを含む野菜や果物と組み合わせるとよいでしょう。
②青魚の脂肪に含まれるEPA、DHAを積極的に摂って炎症を抑えよう
青魚やシソ油、オリーブ油、ごま油などの植物性の油に含まれるEPA、DHAは、関節の炎症を抑える働きがあるといわれています。
これらの食品には血液サラサラ効果もあるので、積極的に摂り入れましよう。
③カルシウムや鉄などのミネラル類、ビタミン類をしっかり摂って骨粗鬆症や貧血を防ごう
痛みがあり、体を動かすことが少なくなると、やがて筋肉や骨が弱くなって、骨粗鬆症や貧血になりやすくなります。
カルシウムと鉄を積極的に摂るように心がけましよう。
カルシウムは吸収がよい乳製品をはじめ、小魚や緑黄色野菜などを食べて摂るようにします。
酢やレモンなどと一緒に食べると吸収率がアップします。
また、鉄もカルシウム同様に、酸と一緒に摂ると吸収がよくなるので、食後に柑橘類を食べるなどの工夫も必要です。
酸味は食欲を増進させる働きもあるので、料理にプラスする工夫をしてみましよう。 鉄と造血に欠かせないビタミン玖も十分に摂るようにします。
レバー、貝類、緑黄色野菜には鉄の他にビタミンA、C、Eなども豊富なのでおすすめです。
緑茶やコーヒーに含まれるカフェインは鉄の吸収を阻害するので、濃いお茶の飲み過ぎには注意してください。
④胃腸にやさしく消化をよくする工夫をしよう
でんぷん質のものや柔らかく煮たものは、消化液と混ざりやすく、消化が早いので胃に残る時間が短くてすみます。
白身魚、ささ身、ヒレ肉などの脂肪が少ないものや、豆腐、納豆などの大豆製品、乳製品などは、胃腸に負担がかからず消化にいいのが特徴です。
揚げ物は腹持ちがよいのですが胃腸に負担がかかるので、煮込み料理、スープ、野菜ジュースなどのメニューがおすすめです。
消化酵素が含まれている大根、カブ、ヤマイモなどは、生で食べるとより効果的です。 また、リンゴぱ整腸作用があり、緑黄色野菜に含まれるβ‘カロチンやキャベツに合まれるビタミンUは胃の粘膜を守ります。
このような消化を助ける働きがある食材などを積極的に取り入れることも大切です。
⑤落ちた筋肉をつくる食事
関節リウマチになると、炎症や発熱の影響でたんぱく質の分解が活発になります。また病気によって日常の動作が制限され、そのため食生活が乱れがちになります。食欲がないため、自分の好きなものばかり偏って食べる人もみられます。
このようなことが影響し、関節リウマチの患者さんには、全身の筋肉量が落ちる傾向があります。筋肉をつくるためには、良質なたんぱく質をとることが大切です。
また、動物性たんぱく質には、鉄を吸収する働きを助ける作用もあり、次に述べる貧血予防にも重要な栄養素です。とはいえ、肉や魚ばかり食べるのはよくありません。
一つ一つの食べ物は、人間にとってはアンバランスな栄養しか含んでいないため、さまざまな食物から、炭水化物(糖質)、たんぱく質、ビタミン、ミネラルなどを、バランスよくとることが大切です。
- 飯塚病院 膠原病・リウマチ内科 https://aih-net.com/medical/depart/riumachi/patient/riumachi_syoku.shtml)(2019年1月05日に利用) 「リウマチ食(和漢食)について | 飯塚病院 膠原病・リウマチ内科」(飯塚病院 膠原病・リウマチ内科)(
- 浜松医科大学名誉教授 https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000041733.html)(2019年1月05日に利用) 「日本人の食事摂取基準」(厚生労働省)(
Medically reviewed by
-
Sachiko Mitarai, MD
毎日の献立は偏らず、さまざまな種類の食べ物を組み合わせ、量は少なくてもバラエティに富むよう工夫してください。主食はごはんやパンなどの穀物。主菜は、肉、魚、卵、大豆製品などのたんぱく質を中心に。副菜としては野菜、海藻、きのこ類などを必ずとり入れるようにします。
主菜は同じ肉を毎日つづけるのではなく、牛の次は鶏に、また肉の次は魚にする、というようにローテーションを組むのもよいでしょう。なかでも、いわし、さんま、さば にしん、ぶりなど、背中の青い魚にはEPA(エイコサペンタエン酸)が多く含まれています。EPAには抗炎症作用があります。背中の青い魚は、関節リウマチの人におすすめできるたんぱく源です。