女性ホルモンを整える

女性ホルモン
女性ホルモンを整える日常生活

女性ホルモンは、「エストロゲン(卵胞 ホルモン)」と「プロゲステロン(黄体ホルモン)」の2種類。 脳の視床下部の指令を受けて、卵巣から女性ホルモンが分泌され、血液に乗って全身に送られています。

この2つのホルモンの分泌量は、生理のサイクルに合わせ、大きく変化しています。 生理から排卵まではエストロゲンが優位になり、排卵から次の生理まではプロゲステロンが優位に。

2つのホルモンがちょうどよく増減することで、体のリズムができて、生理が規則的に訪れるのです。

女性ホルモンバランスが乱れると、さまざまな不調が起きてきます。 なかでも、いちばん気づきやすいのは生理の乱れ。

なかなか生理がこない、経血がいつもより極端に少ないといった症状があったら、ホルモンバランスが乱れている可能性があります。

心や体に負担がかかっていないか、食事や睡眠時間を見直し、ホルモンバランスを整えるケアをするように心がけましょう。

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検査の結果、排卵日から高温期へ移行するまでの日数が長く、 黄体ホルモンが出にくい体質であることがわかりました ...

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エストロゲン

「卵胞ホルモン」とも呼ばれ、排卵の準備をすると同時に、「女性らしさ」を引き出すホルモン、気性が生まれたときから持っている卵子のもとを、排卵できるよう成熟させる働きを持っています。

肌や髪を健やかに保つ作用も。 朝の習慣がリズムのある生活の第一歩になります。

  • 卵胞を成熟させたり、子宮内膜を厚くして妊娠に備える
  • 女性らしい体形にする
  • 自律神経を活発にする
  • 骨を丈夫にする
  • 記憶力を高める
  • シミ、シワを防ぐ

プロゲンステロン

「黄体ホルモン」とも呼ばれ、妊娠に備えて子宮の状態を整えたり、体にエネルギーをため込もうとするホルモン。

子宮内膜を厚くして着床の準備をしたり、水分や栄養をため込んだり、皮脂を分泌したりする働きもあります。

  • 妊娠の継続をサポート
  • 体温を上げる
  • 体に栄養や水分を蓄積する
  • 皮脂分泌を促して肌や髪をつややかに
  • 粘着性の高いおりものを分泌して、細菌などの侵入を防ぐ
  • 腸のぜん動運動を抑える

女性ホルモンバランスの乱れをチェック

女性ホルモンを整える
今日から実践できる6つの女性ホルモンを整える

日々の生活にも、女性ホルモンバランスを乱す原因は隠れています。 当てはまる項目が多いほど、ホルモンバランスが乱れている危険度が高い状態です。

生活習慣で3つ以上、体調で4つ以上の項目をチェックした人は、すぐに生活の見直しを!

女性ホルモン 生活習慣の危険度チェック

激しいダイエットをしたことがある

短期間で無理なダイエットをすると、脳が生命の危機を感じて女性ホルモン分泌の指令をストップさせ、生理が止まったりします。 とくに、10代に経験した場合は影響が大。

不規則な生活で、 休みの日は昼まで寝ていることも

寝る時間、起きる時間がまちまちだと、体も脳もリズムをつかむことができません。 体内時計が乱れて、視床下部がストレスを感じ、ホルモンバランスの乱れへとつながります。

ー日三食とれずに抜いてしまうことも

食事を我慢するなどの不規則な食生活が続けば、視床下部がストレスを感じて、ホルモン分泌が乱れる可能性があります。

家庭や仕事でストレスを抱えている

視床下部は、とてもデリケート。心配事やショックなことがあれば、ダメージを受けて分泌の指令が的確にできないこともあります。

太るのがイヤなので、肉や油は食べない

ホルモンの原料になるのは、脂質であるコレステロール。 肉や油を極端に控えると、原料不足でホルモンを作ることができなくなってしまいます。

きまじめな性格で、毎日やることがいっぱい

「あれもしなければ、これもやらなければ」というストレスフルな生活は、本能や感情をつかさどる視床下部に強いストレスを与え、ホルモンバランスの乱れにつながります。

女性ホルモン 体調の危険度チェック

基礎体温をつけると、高温期がはっきりしないまたは短い(7日程度)

基礎体温をつけた場合、高温期は2週間くらいあるのが理想的。 高温期に乱れがあるときは、「無排卵月経」や、卵巣機能が低下している可能性が疑われます。

生理周期が長くなった、あるいは短くなった

正常な生理周期は25~38日ほど。それよりも長いときは、排卵がうまくいっていない可能性も。 短いときは「黄体機能不全」が考えられ、受精卵が着床しにくい可能性があります。

生理がすっきり終わらず。ダラダラと続く

生理が終わっても、少量の出血が何日か続く場合、排卵が起きていない無排卵月経の可能性があります。

生理の量がだんだん減ってきた

ホルモンバランスの乱れや、子宮内膜症などの婦人科の病気によって卵巣機能が低下し、経血量が減少することがあります。更年期でない場合は要注意。

生理痛が急になくなった

生理痛があるのは、ホルモンがきちんと変動しているサインでもあります。 今まであった生理痛が急になくなったときは、生理ではなく不正出血ということもあります。

しょっちゅう立ちくらみがする

立ち上がったときにクラッとする立ちくらみは、自律神経の乱れによるもの。 ホルモン分泌をつかさどる視床下部がダメージを受けている可能性があります。

体のむくみが朝まで引かない

一晩眠っても治らない、何日も続くなど回復が遅いむくみは、自律神経の乱れが考えられます。 それにともない、ホルモンバランスもくずれている可能性があります。

のぼせ、ほてりがひどい

急に大量の発汗がある、のぼせといった更年期障害にもみられる症状は、卵巣機能の低下の疑いがあり、ホルモンバランスが乱れているサインといえます。

ひどい冷え症だ

冷え症は、自律神経のバランスのくずれによって起こるもの。 それが影響して、ホルモンバランスの分泌が乱れることもあります。

ブラジャーのあとがかゆくなりやすい

皮膚は自律神経の影響を受けやすい部分。自律神経の乱れによって、ホルモン分泌もダメージを受けている可能性があります。

いつもイライラ、感情が不安定

ストレスが続くと、視床下部はオーバーヒートしてしまい、感情をコントロールできなくなります、ホルモン分泌の指令も正しく送れなくなり、ホルモンバランスをくずすことに。

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女性ホルモンバランスを整える食事

女性ホルモンと食事
女性ホルモンをサポートするイソフラボン

女性ホルモンのエストロゲンに似た構造を持つのがイソフラボン。 大豆の胚芽に多く含まれる色素の一種で、体内ではエストロゲンの不足を補うように働きます。

生理不順や更年期障害の症状をやわらげるのをはじめ、肌を美しく保ったり、骨粗鬆症を防ぐ働きがあります。

大豆製品に多く含まれるため、納豆やみそ、大豆の水煮、きなこなどを上手に取り入れましょう。

イソフラボンの1日の目安は40mg以上です。

  • 豆乳 1パック(200ml) 53.0mg
  • 豆腐 1/2丁(110g) 55.0mg
  • 納豆 1パック(50g) 65.0mg
  • 大豆 (50g) 30.0mg
  • きなこ 大さじ1 (6g) 15.6mg
  • 油揚げ 1/2枚(75g) 52.5mg
  • みそ 大さじ1 (18g) 7.2mg

生理不順や冷え症にビタミンE

ビタミンEは体の中でプロゲステロンの材料となるとともに、ホルモンの分泌やバランスをコントロールする働きがあります。

卵巣の機能低下や、ホルモンバランスがくずれる更年期障害の治療に、病院で処方されています。 血液の流れをよくする効果があるので、血行不良で起こる生理痛や肩こり、頭痛や冷え症などの症状改善にも役立ちます。

  • アーモンド (30g) 9.36mg
  • かぼちや (80g) 4.08mg
  • うなぎのかば焼き (100g) 4.90mg

その他

ごまや小麦、えんどう豆などは、女性ホルモンと同じような働きをするレソルシル酸ラクトン類という成分が豊富 に含まれている食品。

エストロゲンに似た働きがあるため、生理不順の改善や更年期障害の予防が期待できます。

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体外受精などの高度不妊治療などはもうする気はありませんでしたが一度自分の状態をチェックしたいと思いクリニックにいって卵胞チェックをしてもらいました。 D13で卵胞の大きさ18.3mm、子宮内膜の厚さは9mmと順調でホルモン検査もD9でLH7.2、FSH6.2、PRL9.0でした ...

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女性ホルモンバランスを整える生活術

女性ホルモンと食事
女性ホルモンバランスを整える生活術

毎日決まった時間に起きよう

規則正しい生活は、ホルモンと自律神経の中枢である視床下部を、安定して働かせる第一歩。 週末や休日も夜更かしや朝寝坊は控えめにして、決まった時間に起きるようにしましょう。

休日に早起きすれば、夜は早めに眠くなり、規則正しい就寝・起床のリズムに戻すことができます。

忙しくても、朝ごはんはきちんと食べよう

リズムのある生活は自律神経の働きを整え、ホルモンバランスの乱れを防ぐことにつながります。 朝食を抜いている人は、少量でもいいので何か口にして、一日三食をきちんととりたいもの。

理想はイソフラボンがたくさんとれる和食ですが、豆乳を飲んだり、トーストやヨーグルトにきなこをプラスするだけでも大丈夫です。

朝日を浴びながら体をストレッチ

起き抜けの体を伸ばして気持ちよくストレッチ。 睡眠中に働く副交感神経から、活動のための交感神経へと、体を目覚めさせましょう。

太陽の光を浴びながら行うと、体内時計にも「朝だ」という信号が届きます。 体のリズムが整うことで、ホルモン中枢の働きも安定してくるはず。

アロマオイルで手軽にリフレッシュ

アロマオイルの香りは、脳に作用して心や体のリフレッシュに役立ちます。 ホルモン分泌のバランスを整えるには、ゼラニウムやクラリセージなどが適しています。

ティッシュに含ませて香りを楽しんだり、湯ぶねに2、3滴たらしてアロマバスにしても手軽に楽しめます。

香りのよいハーブティーでリラックスを

味や香りなど、五感に働きかけることはリラックスに効果大。 仕事や家事の合間にハーブティーでひと息入れて、ホルモンバランスを乱す原因となる視床下部のストレスを癒やしましょう。

リラックスするにはカモミールやラベンダーなどがおすすめです

筋肉をほぐして、体のバランスを整えよう

こった筋肉をほぐすと、自律神経の緊張がほぐれるため、ホルモンバランスが気になる人は、簡単なエクササイズをしてみましょう。

筋肉にぐっと力を入れてから緩める動作が効果的。肩や足を伸ばすストレッチなども試してみましょう

湯ぶねにつかってじっくり温まろう

疲れた日は、ゆったり入浴してみましょう。 こった体と張りつめた心が緩んで、自律神経の働きも、活動のための交感神経からリラックスの副交感神経へとバトンタッチ。

両者のバランスを整えることは、ホルモンバランスの安定につながります。

お気に入りの音楽を聴いてのんびり気分を満喫

ホルモンのコントロールタワーである視床下部を元気に保つためには、五感のひとつである聴力を使うことも心がけましょう。

むずかしく考えなくても大丈夫。 「やさしい気分になる」「落ち着く」と感じる曲を聴いて、ゆったりくつろぐ時間を持ちましょう。 ストレスを癒やす最大の手段は、自分が気持ちいいと感じることなのです。

ツボを押してホルモンバランスをサポート

テレビを見ながら、寝る前など、いつでも手軽にできるツボ押し。 これを習慣にして、ホルモンバランスを整えましょう。

冷え症や生理不順など、女性の悩みによく効くことで知られるのが「女の三里」と呼ばれる三陰交のツボ。 ホルモン分泌にかかわる副腎の機能を改善して、生理痛を軽<するとされるツボが「水泉」です。

水泉

内くるぶしと、アキレス腱の下のかかとの骨の最下端とを結んだ中間点。足首を前からおおうようにして、親指の腹をツボに当て、少し痛みを感じるくらいに強めに刺激しましょう。

三陰交

内くるぶしの頂点から手の指福4本分ほど上の場所で、すねの骨の後ろにあるくぼみの部分。 両手の親指の腹を重ねて当て、少し痛みを感じるくらいに長めに押すのがポイント。

Reviewed by

  • Sachiko Mitarai, MD
    Sachiko Mitarai, MD

    女性ホルモンは、女性の美のためだけでなく、毋になるためにも大切な要素です。 そして、女性ホルモンはとてもデリケ-卜。 女性ホルモンの分泌がよくないと。生理が止まってしまったり心がぎすぎすしてきます。 反対に、やわらかく、やさしい安心感のあるものが、女性ホルモンの分泌を活発にしてくれます。 衣類はもちろんですが、女性のデリケ-卜な場所に触れるものにも気をつかいましょう。 とくに天然素材のものは、感性を剌激しますから、自分では意識できなくても、体は確実に反応するはずです。 一日の3分の1近くを過ごすベッドのリネン類も、この機会に見直してはいかがでしょう。